2025-11-9『パウロの「今でしょ」』山口紀子牧師

聖書:使徒言行録26:12-23,28-29

 私たちは同じ内容を話すにしても、相手によって使う言葉や話し方を変えます。パウロもそうでした。使徒言行録には21章以降パウロの逮捕と裁判での弁明が5回記録されていますが、彼は相手によって切り口や主題をかえています。

 回心の証しも、この26章で初めてのギリシャ的慣用表現が出てきます。なぜなら聴衆が親ローマのアグリッパやフェストゥスら異邦人が中心だから。パウロにしてみたら、すでに皇帝への上訴は決まっていますし釈放を願う気はさらさらありません。今この場は誰にも邪魔されずにイエス・キリストの福音を伝える絶好のチャンスなのです。

 生え抜きのユダヤ人、エリート中のエリートだった彼が、なぜ見下していた異邦人に対して、謙遜に相手に通じる言葉を選べるようになったのか。それはキリストと出会ってしまったからです。それはそれまでの人生を損失とみなすほどの出会いだったのです。

 押されっぱなしの二人にパウロは言います。「今日この話を聞いてくださるすべての人が、私のようになってくださることを神に祈ります」。

 「私のようになってほしい」のは、イエスさまの救いを信じ受け入れること。それは明日に先延ばしすることではなく、今日なのです。今日が恵みの日、今日が救いの日です。

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